生成 AI によって雇用が失われる

THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOWSUSCEPTIBLE ARE JOBS TOCOMPUTERISATION?Carl Benedikt Frey and Michael A. OsborneSeptember 17, 2013

雇用の未来:職業はどれほどコンピュータ化されやすいのか?

AI によって現在ある仕事がなくなっていくという 2013 年の論文である.日本経済新聞など 生成 AI のことを,あまり知らない文系のメディア によっても,いまだに引用されている論文である.Google Scholar から無料でダウンロードできる.

この論文に対しては賛否両論であるが,最も 『 はずれたところ 』について短く考察することにした.この論文で最も 『 はずれたところ 』は,芸術分野は AI によって仕事を奪われる確率は少ないと示すところである.

しかしながら,2022 年にイラスト生成 AI がネッとで利用できることにより,ふつうのイラストレーターの仕事は AI によって奪われることになったのである.同じようなことは,音楽生成 AI の登場によっても起こっている.下の 第 3 図は Frey, C. B., & Osborne, M. A. (2013) からの引用である.

芸術分野の雇用(図中で青緑色で表示されている “Education, Legal, Community Service, Arts, and Media”)は,コンピュータ化の確率が低いゾーン(0~0.2)の領域に多く存在しているおり,このことから、芸術分野の職業は他の多くの職業と比較して、自動化のリスクが低いと推察されている.

すでに AI は,人間の創造力という人間そのものを示す能力に追いついてきており,イラストレーターや作曲家は突出した才能をもつ者でないと,雇用を失うことになりつつある.

現在進行している 芸術分野の雇用が失われる というこのような社会現象について,まだ,有効な対策は提案されていない.

まとめ

(1) 生成 AI の利用によって,もっともコンピュータ化されにくいと推察されていた 芸術の分野 での雇用が失われてきている.

(2) このような芸術分野の雇用が失われるという問題に対しての具体的な対策は提案されていない.